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2026.04.13
新任管理職のオンボーディングをどう成功させる?ポイントは「アンラーニング」にあった
このようなお悩みを抱える人事・育成担当者様は多いのではないでしょうか。
若手の「管理職離れ」が叫ばれる昨今、新任管理職をスムーズに立ち上がらせる「オンボーディング」の重要性がかつてなく高まっています。しかし、管理職への移行は単なるスキルの付与だけでは成功しません。
本記事では、実際に「管理職になるイメージがなかった」と語る、株式会社ファーストキャリアの新任マネージャー2名のリアルな体験談をご紹介します。現場の最前線で活躍していた社員が、どのように葛藤を乗り越え、マネージャーとしての視点を獲得していったのか。
自社事例から見えてきた、新任管理職のオンボーディングを成功に導くヒントを解説します。
なぜ今「管理職のオンボーディング」が重要なのか?
新任管理職の体験談に触れる前に、まずは企業が直面している「管理職育成の課題」について整理しておきましょう。
若手の「管理職離れ」という人事の根深い課題
近年、多くの企業で「管理職になりたがらない若手」が増加しています。
実際に、リクルートマネジメントソリューションズが発表した最新の実態調査でも、一般社員の6割以上が管理職になることに「否定的」であるという結果が出ています[1]。また、各社のさまざまな調査でも「業務負荷」や「責任への懸念」が昇進を避ける大きな要因として挙げられています。
その背景にあるのは、管理職というポジションに対するネガティブなイメージです。
- プレイヤーとしての重い目標を持ったまま、メンバーの育成も担う(プレイングマネージャー化)
- 業務量と責任ばかりが増え、見合った報酬や権限が得られない
- 上層部と現場の板挟みになり、孤独である
現場の仕事に真摯に向き合い、責任感が強い優秀な若手ほど、このような「罰ゲーム化」した管理職の現状を冷静に見つめています。
「自分にはまだ早い」「今の現場の仕事が好きだから」と、昇進に対して慎重になってしまうのは無理もないことなのです。
「新任マネージャーは新卒と同じ」という視点の欠如
優秀なプレイヤーが管理職に昇進した際、企業側が陥りがちな罠があります。
それは、「プレイヤーとして優秀なのだから、マネジメントも上手くやれるはずだ」という思い込みです。
しかし実際には、プレイヤーとマネージャーでは求められる能力や役割が全く異なります。
プレイヤーとしての「自分が動いて成果を出す」という成功体験は、時にマネジメントの邪魔になることすらあります。
これまで通用していた仕事のやり方を捨て、新しい役割へと移行(トランジション)しなければなりません。
極端に言えば、「新任マネージャーは新卒社員と同じ」です。右も左も分からない新しい職種に就いたのと同義であり、
だからこそ、会社や人事による体系的で手厚い「オンボーディング(定着・活躍支援)」が不可欠なのです。
【対談】「管理職になるイメージがなかった」プレイヤーがマネージャーになるまで
「我々も昇進当初は悩みを抱えていました」と語るのは、ファーストキャリアで2024年にマネージャーへ昇進した渡邊と小泉です。
現場の仕事に誇りを持ち、プレイヤーとして優秀な成績を収めてきた2人。それゆえに彼らもまた、
当初は自身が管理職になる明確なイメージを持っていませんでした。彼らはどのように「昇進の壁」と向き合い、視点を変えていったのでしょうか。
昇進の壁:すべてが変化し、これまでの仕事のやり方が通用しない
渡邊 私と小泉さんがマネージャー職を拝命してからもう2年が経とうとしていますね…本当にあっという間でした。小泉さんはマネージャー就任前や就任直後はどんなことを感じていましたか?
小泉: 現場での営業活動にやりがいを感じていた私にとっては、自分が「マネージャーになる」というイメージがまったくありませんでした。昇進の打診は大きな決断でしたね。関西支社(大阪)から東京への異動も重なり、最初はすべてが不安だらけのスタートでした。
いざマネージャーになって痛感したのは、自分の「感覚」とメンバーの「求めているもの」の違いです。私はプレゼン資料なども感覚的に、スピーディーに進めるタイプなのですが、メンバーからは「具体的にどんな内容を盛り込めばいいのか」「段階的・計画的に整理した資料を作りたい」と求められる。自分とメンバーの仕事の進め方の違いに、どう対応すべきか悩みました。
渡邊: そうですよね、就任以前から「マネージャーに近い立場」として後輩のサポートなどを任されることはありましたが、いざ正式に昇進してみると、仕事の質がまるで違いました。自分の判断や決断で、チームメンバーが実際に動く。影響力と責任が格段に大きくなり、プレッシャーを感じる場面が一気に増えましたね…。
また、これまで個々のメンバーがそれぞれのやり方で自立して動いていたチームに、会社としての「新しい方針」を落とし込んでいくのにも苦労しています。例えば、受注前の状況を可視化してチームで共有する仕組みを作ろうとしたのですが、これまでの仕事のやり方を変えてもらう必要があり、それをどう浸透させ、継続させていくかが大きな壁になっています。
小泉: 本当に、時間の使い方から意識まで「すべて」が変化しました。現在私が持っているのは新卒1~4年目の若手を中心とした6名チームですが、ミーティングや営業同行など、業務時間のほとんどをメンバーのために使っている感覚です。私が方針を決めないと動けないという状況も多々あり、マネジメントの難しさに直面しています。
孤独と不安を救う「アンラーニング」のきっかけ
渡邊: 正直なところ、「マネージャーとして周囲に認められているのか」「もっと価値を発揮しないと信頼されないのではないか」という不安は常にあります。関西支社にいるマネージャーは私だけで、身近に相談できる人がいないため、「自分のやり方で本当にいいのかな」とひとり悩む日々でした。
だからこそ、会社が実施してくれたマネージャー研修はありがたかったです。弊社は社長から直接ご指導をいただいたのですが、一般論だけではなくより弊社文脈での経験を交えて話してくれて、徐々に解決の糸口が見えました。上司との1on1でも「会社の方針をメンバーに翻訳して伝えることが求められる」と、立ち位置を明確にしてもらえたことが大きな助けになりました。
小泉: 私は逆に、研修に参加するたび「自分はまだまだだな」と思わされることも多かったのですが……救われたのは「新任マネージャーは新卒と一緒」というアドバイスでした。日々不安なことだらけで、「マネージャーとして上手くやれている実感がない」と焦っていましたが、「新卒と一緒なんだから、わからなくて当たり前。これまでのやり方を一度捨てて、新しく学んでいけばいい」という言葉をもらって、気持ちが少し軽くなりましたね。
渡邊: 時間の使い方が変わり、自分以外のことに使う時間が圧倒的に増えましたからね。自分一人で抱え込まず、分担と協力、業務によっては得意なメンバーに頼る、任せる、といったことを意識するようになったのも、ひとつの「アンラーニング(手放すこと)」だったと思います。
小泉: 「マネージャーとしての責務を全うできていません、正直不安です」と上司に漏らしたこともありました。そうしたら、上司がチームメンバーや他のマネージャーにヒアリングしてくれて、「ちゃんとやれているよ」と客観的なフィードバックをもらえたんです。それで少し自信がつき、前を向けるようになりました。
プレイヤー視点を捨て、新たに見出した「マネージャーの面白さ」
小泉: マネージャーとしてメンバーの疑問や悩みにどう対応すべきか。最初は手取り足取り教えようとしていましたが、本当に大切なのは「お客様の状況を把握すること」だと気づきました。お客様が何を求めているのか、お客様の立場で考えた場合に何が必要か。メンバーの思考をそういう「お客様目線」へと向けていくことこそが、私の役割なんだと。
いずれは日々の対応だけでなく、世の中の動きやお客様の経営計画を深く理解し、しっかりと戦略を立ててチームの旗振りができるようになりたいですね。
渡邊: インプットも重要ですよね。私も会社が用意してくれている書籍購入費の補助制度などを活用して、人材育成以外の知識やマーケティングなどを積極的に学び、メンバーにアウトプットするよう心がけています。「渡邊に相談すれば事態は前に進む」「一緒に動けば成果が出る」と、メンバーから頼ってもらえる存在になりたいです。
この1年間の経験を通じて、日々メンバーを支援することはもちろんですが、「彼らが営業という仕事に専念できる環境作り」こそがマネージャーの本当の役目ではないか、という思いが強くなりました。より経営に近い目線で組織のあり方や仕組みを考え、「楽しく働けている」という感覚を持ってもらえるような環境を作っていく。そういう方向で、マネジメント職を極めていきたいと考えています。
管理職オンボーディングを成功に導く「アンラーニング」とは?
2人の対談から見えてくるのは、責任感が強い優秀なプレイヤーほど、マネージャーになった直後に
「時間の使い方の変化」や「責任の重さ」に直面し、これまでのやり方が通用しないことに戸惑うという事実です。
これが、新任マネージャーが最初にぶつかる「トランジション(役割転換)の壁」です。
では、この壁を乗り越え、彼らのようにマネージャー視点に立つためには何が必要なのでしょうか。
プレイヤーとしての成功体験を捨てる「アンラーニング」
最も重要なプロセスは「アンラーニング(学習棄却)」です。

昇進に伴うトランジション(役割移行)やアンラーニングの重要性は、組織開発・人材育成の専門家からも度々指摘されています。
「自分が動いて成果を出す」「背中で見せる」といった、プレイヤーとしての成功法則を一度手放さなければなりません。
対談の中で小泉が「新卒と一緒なんだから、わからなくて当たり前」という言葉に救われたように、過去の自分をリセットし、
新しい役割を受け入れるマインドセットが不可欠です。自分が動くのではなく、メンバーを動かし、組織として成果を最大化する。
この思考の転換こそが、オンボーディングの第一歩となります。
会社(経営・人事・上司)による体系的な伴走サポート
ただし、このアンラーニングを新任マネージャー個人の努力に依存することは非常にリスクだと言えます。
彼らが孤独や不安を抱え込まずに役割転換できたのは、周囲の強力なサポートがあったからです。
- 経験者からの自己開示: マネージャー研修を通じた、経営陣や管理職の先輩からの「自分もかつて同じように悩んだ」という共感と経験の共有
- 役割の再構築: 上司との1on1を通じた「会社の方針をメンバーに翻訳する役割である」という具体的な立ち位置の提示・本人の中での再構築
- 客観的なフィードバック: 不安に陥りがちな時期に、周囲からの評価を集めて伝えることによる自信の醸成
「背中を見て学べ」という放置型の育成ではなく、会社全体で新任管理職に寄り添い、
体系的に伴走する仕組み(=オンボーディング)が整って初めて、アンラーニングは成功するのです。
全ての環境変化にオンボーディング設計を
ファーストキャリアは「若手向け研修会社」としてスタートしましたが、現在はお客様からのご要望もあり、中途採用社や異動者、
そして新任管理職を含めた「オンボーディングのトータル支援」へと事業領域を拡大しています。
複雑化する育成課題と「一緒に考える」アプローチ
現代の組織における育成課題は複雑化しています。
「こうすれば若手は育つ」「こうすれば管理職は機能する」といった、どの企業にも当てはまる絶対の正解はありません。
お客様の中にも、そして我々支援側にも、最初から明確な答えが用意されているわけではないのです。
だからこそ、我々はお客様に寄り添い、共に悩み抜くアプローチを大切にしています。
対談に登場した当社のマネージャー陣も、初めから完璧だったわけではありません。
戸惑い、葛藤し、周囲のサポートを受けながら壁を乗り越えてきました。そのリアルな当事者としての経験があるからこそ、
お客様の「正解のない組織作り」に対して、表面的なノウハウではない血の通ったご提案ができると考えています。
ファーストキャリアのこだわりは、しつこいくらいにお客様と向き合うことです。
単に「研修プログラムを提供する」のではなく、現場で何が起きているのか、本質的な課題はどこにあるのか。
対話を通じて徹底的に掘り下げ、それぞれの企業文化や現状に合わせた最適なソリューションを共に作り上げていきます。
優秀な社員が、やりがいを持って次のステージへ進めるように。
私たちは、組織の変革に本気で取り組む人事・育成担当者の皆様と、本気で伴走するパートナーであり続けたいと願っています。
新任管理職の育成や、組織のオンボーディングに関するお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
【参考・出典】
※1:株式会社リクルートマネジメントソリューションズ「『管理職のあり方に関する実態調査』の分析結果を発表」(2026年2月24日公開)より引用




