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特集

2025.12.24

人事の方に読んでほしいおすすめ本|2025年総集編

人事の方に読んでほしいおすすめ本|2025年総集編
突然ですが、人材開発・組織開発に携わる中で、「実務に役立つ本は、どこから探せばいいのだろう」と感じたことはありませんか? 

我々の仕事には正解がなく、常に学び続けながら最適解を作り上げていくことが重要ですよね。そこで、今回は2025年にファーストキャリア社員が実際に読んで、「仕事に役立った」「人事の方にもぜひ読んでほしい」と感じた本について、社内アンケートをもとに厳選した5冊を紹介いたします。

人材育成・組織開発の現場で働く一人ひとりが、実務の中で「視野が広がった」「理解が深まった」と感じた本ばかりです。
人事のみなさまにとって、日々の業務や施策を考えるうえでのヒントとして、また新たな学びの入り口としてご活用いただければ幸いです!

1.考察する若者たち|三宅 香帆 著(PHP新書)

「推し」や「萌え」といった身近な文化を切り口に、現代の若者がどのような時代背景の中で価値観を形成してきたのかを、メディアの観点から考察している一冊です。若者の流行などを紐解いていくと、我々も意外と同じような価値観を抱えていることに気が付くと思います。

若者の価値観は年々変化していきます。「世代間ギャップ」と一言で片づけることは簡単ですが、社会をどう見ていて、どういう価値観、痛みを内包しているのかを知ることができれば、ちょっと我々も変わっていけるのかもしれません。「報われたい」がキーワードです。

【社員の声】

・ “萌え”や“推し”という身近な文化を通して、若手世代を取り巻く時代背景の変化が、彼らの価値観形成にどのように影響を及ぼしたのかについて理解が深まりました

・ 書籍内で言及されている『報われたい』という感情が、今の若手の特徴といわれる『正解探し』や『タイパ思考』などとも通じる話でした。自分も例に漏れず『報われたい』という深層意識があるように感じます

【こんな人におすすめ】

・ 若手社員の価値観や時代背景を理解したい育成担当者

・ 若手向けキャリア施策の担当で、関わり方に悩んでいる方

・ 「流行っているコンテンツ」の理由を知りたい方

2.「働く」を問い直す 誰も取り残さない組織開発|勅使川原 真衣 著(日経BP)

人材育成や評価を考える際、私たちは無意識のうちに個人の能力に焦点を当てがちですが、全てが「個人の能力」で片付けられるものなのでしょうか?
我々のバイアスの背景には、「能力主義」という考え方があります。本書は、「能力主義」前提の考え方を丁寧に問い直し、組織の構造や環境に目を向ける、組織開発の視点を与えてくれます。

「できる/できない」「向いている/向いていない」といった言葉が、意図せず人を分類してしまうことがある。そのことに気づいたうえで、誰もが力を発揮しやすい組織のあり方を考えるヒントが詰まっています。

ファーストキャリアも、昨年から『らしさを発揮できる世界を作る』というビジョンに一新し、オンボーディング支援に注力しています。研修だけではなく、現場組織の構造にも目を向けていくことが、活躍できる人を増やしていくことにつながると信じています。是非とも研修企画を担っているみなさまにご一読いただきたい一冊です。 

【社員の声】

・ 能力は伸ばすものだと思う一方で、その“能力”だけを基準に人を評価してしまうことへの違和感が、自分の中でもずっとありました。能力主義が知らず知らずのうちに誰かを置き去りにしてしまう構造や、そのことに向き合う必要性を、改めて考えるきっかけになりました

・ 著者のこれまでのキャリアや原体験を知る中で、『誰も取り残さない組織をつくる』という言葉に、強く共感しました。一人ひとりの能力を高めることだけでなく、それぞれが活躍できる前提をどうつくるか。オンボーディング支援の仕事に携わる立場として、大切にしたい視点を再確認できた一冊です

【こんな人におすすめ】

・ 人材育成・研修企画を担当している人事の方

・ 組織開発の視点を施策に取り入れたい方

・ 「誰も取り残さない」という言葉に惹かれる方

3.図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための
「理論と実践」100のツボ|坪谷 邦生 著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

人材開発や組織開発の仕事をしていると、日々の業務に追われながら「そもそも人事って、何を大事にする仕事なんだっけ?」
「今やっている施策、ちゃんと筋が通っているのかな?」と、ふと立ち止まりたくなることはありませんか。

本書は、そんなときに気軽に手に取れる一冊です。
採用・育成・評価・配置・組織開発といった人事の基本テーマを、図解を交えながら、丁寧に噛み砕いて説明してくれています。

難しい理論書というより、「人事の考え方を一度整理するためのガイドブック」といった感覚で読めるのが魅力です。人事の基礎に立ち返りたい方はもちろん、これから学びを広げていきたい方の“最初の一冊”としてもおすすめです。

【社員の声】


・ 人材開発・組織開発における“そもそもの問い”に対して、シンプルで整理された答えが示されており、理解がとても進みました。人事としての考え方を一度立ち止まって整理するのに、ちょうど良い一冊です

・ 理論と実践がコンパクトにまとまっているため、人事領域を学び直す際の“足掛かり”として非常に役立ちました。ここから関心のあるテーマを深掘りしていくための土台づくりに適した本だと感じました

【こんな人におすすめ】


・ 人事の基礎に立ち返り、考え方を整理したい方

・ 人材開発・組織開発を理論と実践の両面から捉え直したい方

・ 個別テーマを学ぶ前に、全体像を押さえておきたい方

4.わかったつもり 読解力がつかない本当の原因|西林 克彦 著(光文社)

本や記事を読んだり、セミナーで誰かの講演を聞いたりした際、「わかったぞ!」と思ったのに、後から振り返ってみると、「分かったつもり」で実はちゃんと理解できていなかった… という経験はありませんか?
研修や育成の現場でも、育成対象者が「分かったつもりになっている」 という声を聞くことが少なくありません。

本書は、この「分かったつもり」という多くの人が陥りがちな落とし穴の正体を徹底的に解き明かしてくれます。

「なぜ人は“わかったつもり”になるのか」「なぜ読解が難しく感じられるのか」といった問いを、認知科学の観点から具体例とともに解きほぐしていきます。能力や意欲の問題に集約せず、環境や認知特性も踏まえて捉え直すことができる、研修設計の示唆に富んだ一冊です。 

【社員の声】


・ なぜ読解力が身につきにくいのか、“わかったつもり”が生まれる認知の仕組みを、具体例とともに理解できました。タイパ重視の環境で育つ若手ほど、この罠に陥りやすいのでは、という仮説を持てたのが印象的でした

・ 研修現場で感じていた違和感に対して、認知科学の視点から納得感のある説明が得られました。内容をもとにお客様や講師との対話も広がり、若手理解や研修設計を考える上での共通言語を持てた一冊です

【こんな人におすすめ】


・ 若手社員の理解の仕方を背景も含めて捉えたい育成担当者

・ 研修や説明の伝わり方をより精緻に設計したい方

・ 自分自身も「読解力」を向上させたい方


5.みんなのフィードバック大全|三村 真宗 著(光文社)

フィードバックは、人の成長に欠かせない行為ですよね。しかし、「相手にどう思われるか分からない」という恐れから、近年はフィードバックする文化が無くなってきているという声をよく伺います。

本書は、フィードバックを「上司やOJT担当が行うもの」ではなく、「相手の成長を支える建設的な対話」として捉え直すためのヒントがたくさん詰まっています。タイトルにもある「みんなの」というのが「特定の人ではなく、みんなでやっていくもの」という考え方を表していますね。

フィードバックを行うためのマインドセットだけではなく、著者が実践で培ってきた具体例なTipsが多数盛り込まれており、我々が明日から実践できる内容が詰まっています。「研修にこの要素入れてみたい!」というものがたくさん詰まった一冊です。 

【社員の声】


・ フィードバックを“与える側”のスキルとして捉えがちでしたが、受ける側のマインドセットにも目を向けている点が新鮮でした。フィードバックを主体的に活用する視点が整理され、日々の仕事への向き合い方を見直すきっかけになりました

・ これまで上司・先輩側の関わり方を中心に考えてきましたが、若手側の受け取り方や姿勢も含めて捉える重要性を再認識しました。フィードバックを双方向の対話として考えるヒントが得られた一冊です

【こんな人におすすめ】


・ フィードバックの質を高めたい方

・ 1on1や育成面談をより有意義な時間にしたい方

・ リーダー育成を担当している人事の方

おわりに

日々の業務に追われる中で、じっくりと考える時間や、新たな視点に触れる機会をつくることは、簡単ではないかもしれません。それでも、一冊の本との出会いが、人や組織を見る視点を少し変えてくれる瞬間は確かにあります。

今回ご紹介した書籍が、皆さまの視点を変える出会いになりますように。